能登地域の医療と福祉を支える現場から、
笑顔と前進のストーリーをお届けします。

お茶を飲み、語らい、笑顔が戻る場所。
「地域の看護師」として歩み続ける。

0601.jpg 地域生活支援ウミュードソラ 0602.jpg みんなの保健室わじま 0603.jpg 福祉避難所となった「ウミュードソラ」 0604.jpg 期間限定トレーラーハウス「みんなのライオンカフェ」オープン 0605.jpg 町野で「出張みんなの保健室わじま」を開催 0606.jpg 「みんなの保健室わじま」を地域交流スペース「語り馬処」で再オープン

2024年の能登半島地震、豪雨被害と、幾重もの困難に見舞われながらも、「やっぱり輪島が好き、みんなとここで生きていきたい」と前を向き続ける看護師がいます。輪島市内で「みんなの保健室わじま」を立ち上げ、住民の健康相談からお茶飲みスペース、子どもたちの居場所づくりまで奔走する代表の中村悦子さん。困難を越えて人と人をつなぎ続ける、その温かい想いに迫りました。

 
語り: 在宅看護センターみなぎ
代表 中村 悦子

 
 震災前から輪島市内で「地域生活支援ウミュードソラ」「みんなの保健室わじま」を運営し、地域の皆さんが気軽に集まって会話を楽しむ場づくりや、看護職としての健康支援に長く取り組んできました。しかし、震災後に「ウミュードソラ」は福祉避難所になり、「みんなの保健室」は閉鎖を余儀なくされました。私は訪問看護師として活動を続けていましたが、みんなが集まる場所があれば、自然と会話が生まれ、健康にもつながると、あらためて感じるようになりました。
 

また、どこかでカフェをやって

 再起に向けて活動する中、ありがたいことに「風に立つライオン基金」をはじめ、各方面からご支援をいただくことができました。震災の翌年2025年には、提供を受けたトレーラーハウスで「みんなのライオンカフェ」を期間限定でオープンし、お客さんには「お気持ち」を募金箱に入れていただき、おいしいコーヒーと楽しい会話でホッとする時間を過ごしてもらいました。「また、どこかでカフェをやって」という声なども受け、市内の交流スペースを利用させていただき、また、中心部から少し離れた町野で「出張みんなの保健室わじま」を開催するなど、あらためて居場所づくりと健康チェックと指導を頑張り続けた結果、「みんなの保健室わじま」を地域交流スペース「語り馬処(かたりましょ)」で再オープンすることができました。
 
 ライフワークとも言える居場所づくりは、病院で訪問看護をしていた頃に考えるようになりました。輪島で訪問看護を利用する方の中には、治療のために遠距離移動や宿泊をしている難病の方も少なくはありませんでした。ご自身の地元輪島で気軽に病気について語る場があり、会話をできる相手がいれば、どれだけ気持ちが楽になれるだろうかと、そういうくつろげる場が無いなら、自分が頑張ろうと思い立ったことがきっかけです。
 
 カフェに来てもらえれば、それは立派な社会参加だと私は思います。被災の影響で身体機能が落ちる中、自分の居場所に通っているうちに元気になっていく人もいますし、具合が悪い方は相談していただければ、私たちカフェの看護職や介護職が対応します。これまでに独居の方から看取りの相談を受けたこともあります。カフェがきっかけで私たちのことを信頼していただいたからだと、本当にありがたい気持ちになりました。お茶を飲みに来て、おしゃべりをして、健康チェックをして、だんだんと打ち解けて、もう一つの自宅のようにくつろがれる姿を見るのはうれしいですね。何気ない世間話を通して、人生の先輩方に私たちが教わることも多々あります。
 

みんなと輪島で頑張りたかった

 震災があり、豪雨があり、私自身も被災しましたが、みんなと輪島で頑張りたかった。だから、活動をやめようとは一度も思わなかったですね。それよりもどうやって続けようかと、そればかり考えて現在に至ります。今は看護師が24時間対応して在宅療養を支える中間施設をオープンさせるという新しい夢に向かって動いています。これからも訪問看護師というよりも「地域の看護師」として、住民主体の活動や居場所づくりに携わりたいです。

子どもたちが「ただいま」と帰れる場を 

 新しい「みんなの保健室わじま」では高齢者だけでなく子どもたちも受け入れています。子どもたちが「ただいま」と帰ってくる場を地域でつくることもできました。放課後に宿題をしたり、夏休みや冬休みなど長期の休み中に遊びに来てくれたりしています。
 これまでに能登プロジェクトをはじめ、県内外のこれまでのキャリアでつながった看護職の方から多くの支援をいただきました。興味・関心のある方は、ぜひ能登プロジェクトを通して、この地の力になってほしいです。能登に残った人もいますし、戻ってきた人もいます。そのことを後悔しないように、みんなの街づくりの中で、私たちができることを考え、頑張りたいですね。

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\ 在宅看護センターみなぎ /