訪問看護

研修・フォーラム

2023年度研修プログラム

訪問看護研修(県受託)

教育計画「2023年度研修プログラム」のページをご確認ください。
 
2023年度研修プログラム

活動レポート

多職種連携を強化するためACPについて話し合う

 石川県訪問看護ステーション連絡会の「ACP出前講座」は9月11日(月)、県立中央病院で開催され、同病院に勤務する看護職ら多職種約100人に同連絡会の池川淳子さん(訪問看護ステーションリベルタ金沢)と上口幹さん(こすもすの家)がメインの講師を務めました。

 池川さんは「ACPについて考える」と題し、実際にあった「自宅退院」の事例を紹介しました。退院からお亡くなりになるまでの経緯を伝えた後、参加者はグループに分かれて「利用者(患者)の意思確認は十分に行われていたか」「医学・看護の判断は本人に伝わっていたか」「家族(周囲)の意向を把握できていたか」の「ACPの3本柱」について話し合いをしました。

 発表では「患者さんへの確認と対応はできていたと思う」「家族に対するフォローがもう少しあっても良かったのでは」などの意見が出る中、実際にこの事例に携わった療養支援担当者は当時を振り返り、患者とその家族の意向を聞き取ることの難しさを語りました。

 池川さんは「多職種の役割を知った上で、平常から専門職同士で、または地域と医療機関と連携すること」「何度でも繰り返し話し合い、状況に応じたACPを考えること」の2点をポイントに講義をまとめました。

 続いて上口さんは「ACP 看多機の取り組み」というテーマで講演し、利用者の希望を聞いて県外への旅行をサポートしたエピソードなどを話し、「ACPと一言で言ってもいろいろな形があり、日々の関わりの中で本人と家族の想いを尊重してケアをする中での会話もACPの形の一つである」と伝えました。

 講座後、参加者からは「身寄りのない方へのACPの工夫があれば教えてほしい」「合同カンファレンスの際に在宅スタッフに聞きたいことはありますか」などACPに関する質問が寄せられました。

訪問看護師の役割と必要な視点を再確認

 石川県看護協会の「令和5年度 訪問看護 基礎研修」は5月17日(水)、石川県看護協会で本年度初回の研修が行なわれました。さまざまなキャリアを経て、県内で訪問看護に従事する21名の参加者が訪問看護師の役割について学び、医療施設における看護との相違点などを再確認しました。

 講師を務めた訪問看護ステーションリベルタ金沢の池川淳子管理者は、「訪問看護ではケアマネージャーやヘルパーなど他の職種との連携・協力が必要となります。相手を理解するためには自分の役割を言語化し、自分のできることを相手に伝えましょう」と、まずはコミュニケーションの大切さを説きました。

 その後、参加者は自己紹介を兼ねて「訪問看護を始めたものの、訪問先のご家族との関係などに不安を感じて参加しました」「訪問看護歴は2年ですが、あらためて基礎を学び直し、自分の力にできればと受講しました」など、今回の受講動機を話しました。

 池川さんは、訪問看護の重要なポイントとして「生活を支えるという視点」を持つことを強調。「病気だけをみるのではなく、『利用者さんのしたいことや大切にしていること』を常に意識してほしい」と訴えました。終了後のアンケートでは「訪問の経験は浅いため、多くの学びを得ることができました」「研修で学んだことを患者さんやご家族との信頼関係構築に活かしたい」などの感想が寄せられました。

 「訪問看護 基礎研修」は講義以外に施設での研修やeラーニングを活用しながら、全11回の研修が10月まで続きます。

ケアマネージャーが実例を通して意見交換

 石川県訪問看護ステーション連絡会は、金沢市地域包括支援センターもろえ管内のケアマネージャーを対象とした「人生会議」出前講座を地域医療機構金沢病院で開催しました。
 
 この日は、石川県訪問看護ステーション連絡会の池川淳子さん(訪問看護ステーションリベルタ金沢)が「ACP(Advance Care Planning)における多職種連携(コロナ編)」をテーマに講師を務めました。研修会では、WEB参加も含む12名が4組のグループに分かれ、訪問看護の利用者(80代女性)の同居者(ストーマケアを担っていた長男)がコロナ陽性になった実例を課題に専門職としての対応を話し合いました。
 
 参加者からは「専門的なケアは感染防護具を装着した訪問看護師に任せ、通院については近くに住んでいる家族の協力を取り付ける」「状態が落ち着いたら、今後も同じようなことが起きることを想定して話し合う機会をつくる」などの意見が出されました。グループワーク後、講師の池川さんは「専門職の日々の行動が利用者さんとご家族の意思決定支援に関わっています。平常時から、もしもの時の予防的視点で訪問看護などのサービス導入を検討し、専門職や地域との繋がりをつくってほしい」と話しました。石川県訪問看護ステーション連絡会では各地区で出前講座を継続して行っていきます。

最悪の事態に備え、最良の計画を策定する

 石川県看護協会はBCP(Business Continuity Plan、業務継続計画)策定をテーマにしたフォーラムを7月9日(土)、県看護研修センターを主会場にオンラインで開催しました。訪問看護・介護、居宅介護支援事業所などに勤務する参加者は、自施設を想定しながら、緊急時への対策について考えるヒントを得ました。

 BCPとは、災害などのリスク発生時に業務を中断しないように、また万一、事業が中断した場合でも、できるだけ早期に重要機能を再開させるために、平時から戦略的に業務継続について準備をしておくことです。
 この日の講義では、山岸暁美さん(慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室講師、一般社団法人コミュニティヘルス研究機構機構長)が「有事の際にも臨機応変に対応できるBCP策定~いのちと生活を守るために~」と題して講演。平時から施設の関係者全員で検討して対策を練ることや計画策定までには複数のステップがあることなど、BCPをまとめるためのポイントを解説しました。

 続いて行われたシンポジウムでは、石川県内4つの訪問看護ステーションの代表がそれぞれ「地震時の対応」「感染症対策」「地域との連携」「地震を想定した演習」をテーマに、緊急時にとった行動や、そこから得た課題や気づき、また日頃からスタッフ全員で共有している備えや心がけなどを紹介しました。

 今回のフォーラムの司会・座長は、訪問看護ステーションリハケア芦城の宮本由香里さんが務めました。シンポジストの皆さんは以下の通りです。中村悦子さん(訪問看護ステーションみなぎ)、寺田祐里さん(あっとほーむな訪問看護ステーションやまと)、池川淳子さん(訪問看護ステーションリベルタ金沢)、丸山麻美子さん(訪問看護ステーションえがお)。

在宅高齢者の便秘アセスメントに役立つ技術

 石川県立看護大学看護学部 成人看護学 准教授 松本 勝講師は、エコー画像を看護師がアセスメントに使い、看護技術を可視化することについて講演した。在宅高齢者の便秘アセスメントの困難は、認知機能低下により主観的症状が曖昧になること、便を直接観察できない事があげられる。エコーを使う事により、大腸内便貯留に対する客観的評価が可能になり、苦痛を緩和できることが理解できた。

 受講生はオンライン22名、対面16名、計38名が参加された。エコーによる膀胱・大腸・褥瘡部の観察や、エコーを利用した抹消静脈カテーテル留置・嚥下評価をおこなう事が有意義であることを学ぶことが出来た。ハイブリッド研修後、対面受講生は、実際にエコーを使って演習を行い、学びを深めた。

考えや思いを話し、伝えることの大切さを説く

 石川県訪問看護ステーション連絡会の出前講座は6月29日(水)、野々市市のあやめ会館で行われました。白山松任訪問看護ステーションで管理者を務める伴いずみさんが講師となり、「人生会議ってな~に?」と題して70代から80代までの参加者15名に人生の最終段階でどのように過ごしたいかを問いかけました。

 講座の中で「平均寿命と健康寿命」の違いや、入院治療中の段階で次の治療の場を選択しなければならない現状などを解説し、健康ではない状態になること、誰もが最期のときを迎えることを前提に、自分自身の考えや思いを大切な人、信頼できる人に伝え話し合うことの大切さを説きました。

 講座後には参加者から「自分の気持ちを考えたことはあるけど、伝えたことはない」「本日の内容を踏まえ、家族と話し合ってみたい」などの声があがりました。伴さんも参加者に「少しずつでもいいので、考えてください」と声を掛けました。石川県訪問看護ステーション連絡会ではこれからも講座の依頼を受ける形で出前講座を開催する予定です。

役割や倫理、コミュニケーションスキルを学ぶ訪問看護基礎研修が始まる

 石川県看護協会の「訪問看護研修(基礎研修)」は6月1日(水)、石川県看護研修センターで本年度の日程が始まり、県内で訪問看護に従事する看護職21名が参加し、あらためて自身の仕事への理解を深めました。

 初回の講師は、訪問看護ステーションリベルタ金沢の池川淳子代表・管理者が務め、看護職としてこれまでの経験を語りながら、訪問看護を取り巻く現状と将来の課題、現場でのコミュニケーションについての考え方、看護職に求められる倫理などの講義をしました。

 研修では冒頭に研修生の自己紹介があり、訪問看護のキャリアの浅い看護師が多い中、受講動機は自主的に参加したという研修生の意欲的背景が伺えました。池川講師は、「在宅におけるケアの重要性と、訪問看護の役割を果たすため、アセスメント力や対応力をしっかり身につけてほしい」と期待を込めました。

 「訪問看護研修(基礎研修)」は全9回の日程で10月まで行われ、参加者はeラーニングを活用しながら、在宅における感染管理や排便ケアなど、訪問看護に必要な基本的な知識と技術の習得を目指します。

石川県訪問看護ステーション連絡会とは

 2013年石川県訪問看護ステーション連絡会は、県内の訪問看護ステーション間の連携強化のための情報交換や課題解決のための実態調査及び研修を目的に発足しました。現在は、石川県を4ブロックに分け地区別に研修会や会議を行い情報交換を行っています。これからは事業の幅をさらに拡大していくために、先駆的に活動している岐阜県訪問看護ステーション連絡協議会の活動を学び、訪問看護ステーション同士のつながりをつくり、訪問看護の質の向上と推進をすすめていきたいと考えています。